DeNAが遺伝子検査サービス 大丈夫か?

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DeNA遺伝子検査サービス
(産経新聞より)

ディー・エヌ・エー(DeNA)子会社でヘルスケア事業を展開するDeNAライフサイエンスは12日、個人向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」の提供を開始した。最大約280という検査項目や生活改善に役立つ分かりやすいアドバイスなどをアピールし、ヤフーなど他社が提供するサービスと差別化する考えだ。

 都内で開いた発表会で、DeNAライフの深沢優壽(まさとし)社長は「誰でも簡単に自宅でできる。病気予防や生活改善をトータルにサポートしていきたい」と述べた。発表会には、タレントの鈴木奈々さんや俳優の石田純一さんらも出席し、体験した感想などを話した。

 がんや生活習慣病の疾病リスク、体質などすべての検査項目を網羅する「オールインワン280+」は2万9800円(税別)。

 サービスはインターネット経由で申し込む。自宅に郵送される検査キットに唾液を採取して返送。結果やアドバイスは利用者専用のホームページで確認する。(産経新聞より)

DeNAの子会社のDeNAライフサイエンスが遺伝子検査サービス「MYCODE」を提供するとのこと。

子供からお金を吸い上げることで儲けてきたDeNAなので、ちょっと心配になった。

そこで、

Webサイトに掲載している「検査申し込みに関する説明事項」を確認してみた。

「同意の取扱い」
ご提出いただいた本同意書は、本サービスを退会された場合又は申込みを撤回された場合でも、返却・破棄には応じかねます。

一度同意したら、その後、同意したDeNAの利用を止めることが出来ない?

後で書いているが、同意を撤回できる仕組みはある。

「検査結果情報の性質及び検査により予測される結果や不利益について」
当社の管理する情報システムにおいてはセキュリティに関し万全を期しておりますが、不正アクセス等の問題が生じ、お客様に不利益がもたらされる可能性は否定できません。

確かにその通りだと思うけど、

なんか言い訳じみている気がする。

「本検査結果の基礎とする情報」
本検査結果は、医学・生命科学関連の文献データベース「Medline」に掲載されている論文等のうち、同分野における専門家による査読を受けていることその他統計学的手法に基づいて研究が実施されていること等の観点から抽出したものに基づいています。ただし、その正確性については当社が保証できるものではありません。

「ただし、その正確性については当社が保証できるものではありません。」

なるほどね。

確かにその通りだと思うけど、

間違っていても自社には責任がありません。

という宣言か。

「ヘルスビッグデータを用いた健康長寿社会の実現に向けた研究へのご協力について」
当社は、お客様のご同意が得られた場合、お預かりした試料・情報を研究に使用させていただくことにしております。

「研究目的での利用について」
研究目的利用の可否を同意書にてご回答ください。同意の可否は本サービスの提供と関係ございませんので、自由意思でお決めください。

検査結果を知りたいけど、研究目的で利用してほしくないというケースに応じてくれるわけだね。

少し気になるのは、同意を取り方。

例えば、同意書において、

「同意しない場合はチェックを入れて下さい」

のような書き方だと、見逃す人や、ついつい面倒くさくてチェックをしない人が出てくるかもしれない。

ここはぜひ、下記のようになっていることを望む。

「同意する場合はチェックを入れて下さい」

「同意の撤回」
お客様は、当社の別途定める方法によりお申し出いただくことでいつでも研究目的利用に関する同意を撤回できます。同意しない場合及び同意を撤回した場合においてもお客様に不利益が生じることはございません。

これは良い。

しっかり同意撤回できる仕組みがある。

ただし、「別途定める方法」というのが見当たらない。

検査に申し込んだ人にしか教えないということか。

実はものすごく面倒で、普通の人はあきらめてしまうような方法なのでは?

と疑ってしまう・・・

「同意の撤回」
当社は研究目的での利用について同意の撤回を受け付けた場合、研究試料・情報等について、同意の撤回の受付以降の研究における利用を停止し、廃棄いたします。但し、お客様の個人情報を保護するために研究試料・情報等が連結不可能匿名化されている場合は前述の通り対応表が残っていないため既に研究に利用されている試料・情報等について利用を停止することができません。また、すでに研究結果が公表されている場合も同様の取扱いとなることをご了承ください。

おっと。

これは問題ありですね。

「個人情報を保護するために研究試料・情報等が連結不可能匿名化されている場合は」

とあるが、これは言い換えると

「個人情報を匿名化しない場合もある」

ということになる。

研究利用に個人情報が必要とは思えない。

例えば「埼玉県○○市1-2-3 に住む53歳の女性 山田花子」といった個人情報を「埼玉県の50歳代の女性」といった匿名化をしても問題ないはず。

「共同研究」
当社は、国立大学法人東京大学医科学研究所(以下「医科研」と言います)、その他第三者の研究機関や企業と共同で研究を行うことがあります。この場合、当社及び共同研究を行う主体の倫理審査委員会の承認を得た上でその旨を当社の管理するウェブサイトにおいて開示し、研究を実施します。

「第三者提供」
当社は、当社が取得した研究試料・情報等を研究用データベースとして運用する等、第三者が実施する研究に対して本研究の成果及び研究試料・情報等を提供する場合があります。この場合、倫理審査委員会において当該第三者及び当該第三者が実施する研究計画の妥当性について承認されることを前提とします。第三者に提供するにあたっては、当社は研究試料・情報等を匿名化することとします。

共同研究及び第三者提供を実施するので、大学機関やその他研究機関に研究データを渡すとしている。

でも「倫理審査委員会」が安全を担保するから大丈夫!

といった書きぶりだが、「倫理審査委員会」というのはあくまで社内組織であって、第三者組織でない以上安全は担保されない。

会社の組織体制に問題がある場合は全く機能しないので説得力が弱い。

と、思ったら、別ページに構成員が書いてあった。

委員長 長村 文孝(外部委員) 東京大学医科学研究所 先端医療開発推進分野教授 兼附属病院TR・治験センター長
委員 津田 大介(外部委員) ジャーナリスト
委員 横野 恵 (外部委員) 早稲田大学 社会科学総合学術院准教授
委員 渡邉 淳 (外部委員) 日本医科大学准教授 日本医科大学付属病院 遺伝診療科部長
委員 渡辺 武経(外部委員) 株式会社ディー・エヌ・エー 常勤監査役
委員 城戸 忠之(内部委員) 株式会社DeNAライフサイエンス 取締役

構成員の内、渡辺さんと城戸さんは身内。
長村さんの所属する東京大学医科研究所は共同研究する研究所だからほぼ身内。

ということで、真に中立な視点で見れるのは津田さん、横野さん、渡邉 さんかな。

なるほど、津田さんを抑えたのはなかなかやりますね。

もし仮にやましいことをしたら、すぐに発表しそう。

そのような効果が期待できるから安全を担保出来るということか。

任期は一年となっている。

いつの間にか身内だらけ、ということになっていなければ良いが。

また、共同研究及び第三者提供の場合は情報を匿名化すると明記している。

自社研究の場合はこのような記載がなかったので、

やはり、自社研究の場合は特段匿名化しない、ということだろうか。

「本同意書及び本書の変更」
当社は、本同意書及び本書の内容を変更することがあります。重要な変更については当社の管理するウェブサイトにおいて開示をいたします。

変更しても同意した人に通知して教えるわけではないのか。

これでは変更されたことに気が付かない人がほとんどな気がする。

遺伝子検査サービスを行う企業はどんどん出てきているけど、どの程度安全に取り扱うかはまだわからない。

中国企業に依頼するよりはまだマシだけど、自身の遺伝情報を営利企業に渡すということはそれなりの覚悟を持たないといけない。

その覚悟が出来る人のみ利用してみれば良いと思う。

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