概要
殺人を依頼してきた知人男性(60)から現金を脅し取ろうとしたとして、愛知県警瑞穂署は25日、恐喝未遂の疑いで、名古屋市瑞穂区東栄町、無職、鬼頭晴由容疑者(64)を逮捕した。
同署によると、男性は相続問題で兄ともめたため、数百万円で兄を殺害するよう鬼頭容疑者に依頼したが、直後に取り消していた。鬼頭容疑者とは約1年前に喫茶店で知り合ったという。
逮捕容疑は24日、瑞穂区内の喫茶店で、男性に「既に組織に話を上げた。取り消すなら10万円持ってこい。用意できないなら若い衆を家に向かわす」と言って現金を脅し取ろうとした疑い。
男性が警察に届け、発覚した。鬼頭容疑者は「脅したつもりはない」と容疑を否認している。(産経ニュースより)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140925/crm14092520000019-n1.htm
脅したつもりはない
鬼頭晴由容疑者は「脅したつもりはない」と言っている。
つまり、発言内容は認めるが、それは脅しではないという主張だ。
確かに脅しの要素がなければ恐喝の要件を満たさない。
しかし、誰が聞いても脅しでしょう。。
どうやら元か現暴力団組員らしいし。
また、10万円とはやけに控えめに思える。
「100万円持ってこい!」の方が凄みがありそうな気がした。
殺人依頼はどんな罪となるのか?
殺人を実行した者は殺人罪となるが、殺人を依頼した者はどのような罪となるのだろうか。
答えは、殺人が完結していた場合は殺人罪、未遂におさまっていたら殺人未遂罪。
つまり、殺人を実行した者と同罪となる。
刑法上では殺人の教唆犯と呼ばれる。
教唆犯とは、他人をそそのかして殺人を実行させた者のこと。
教唆犯は殺人のみならず、すべての犯罪で同様となる。
だから、いじめっ子がいじめられっ子にガムを万引きしてこい! と言い、実際に万引きした場合、
いじめられっ子は窃盗罪。
いじめっ子は窃盗の教唆犯となり窃盗罪。
では催眠術で殺人を実行させた場合は?
教唆犯の事を知ると、催眠術で殺人を実行させた場合も適用されそうな気がする。
が、
完全な催眠状態で殺人を実行させた場合は違うらしい。
この場合は刑法の「間接正犯」となる。
間接正犯とは、他人を道具のように使い、そこに他人の意思を介在させることなく犯罪行為を実行させた場合の犯行。
教唆犯との違いは、犯罪の実行者が犯罪であることを認識していたかの違い。
完全な催眠状態の場合は、催眠にかけられた者は犯罪と認識せずに犯罪を実行することになるので、催眠にかけられた者は罪に問われない。
そして催眠をかけ犯罪を実行させた者のみ間接正犯として罪に問われることになる。
今回のケースではどうか
殺人を依頼した男性は確かに依頼したものの、実行前に取り消しているので、殺人を実行する段階にない(未遂でもない)ので特に何の罪ともならない。
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