愛知・名古屋に本社があるしゃぶしゃぶチェーン店の「木曽路」が、松坂牛などと偽って、ほかの安い肉を出していた問題で、会社側が15日に謝罪会見を開いた。
松原秀樹社長は「深くおわび申し上げます」と謝罪した。
この問題は、2012年の4月から7月にかけ、愛知・刈谷市と大阪や兵庫・神戸の3つの店で、松坂牛や佐賀牛と表記しながら、より安い和牛の肉を使ったしゃぶしゃぶやすき焼き、あわせておよそ7,200食を販売していたもの。
木曽路では、食材の仕入れなどは各店の料理長の責任となっていて、「店の利益率の目標を達成するためにやった」などと話しているという。
松原社長は「そんなに大きなプレッシャーを、彼に対して与え続けていたというふうには、認識をしていない」と述べた。
木曽路は、申し出があった客には差額分を返金するという。
「木曽路」松原社長による謝罪会見
8月14日の記事「【食品偽装】しゃぶしゃぶ木曽路、松阪牛と偽り安い肉提供 」の続報で、社長による謝罪会見が開かれた。
その会見において気になった点を書いていく。
会見での社長の発言
「そんなに大きなプレッシャーを彼に対して与え続けていたとは認識していない」
気になった点1「そんなに大きなプレッシャー」の度合い
社長が、どのぐらいで大きい、と感じるかは関係ない。
料理長が、どのぐらいで大きい、と感じるかが問題だ。
気になった点2「与え続けていた」という連続性を問題にしていること
社長は、「プレッシャーを与えた」ことを否定していない。
社長が否定しているのは「プレッシャーを与え続けてはいない」ということ。
気になった点3「認識していない」という主観の話となっていること
「認識していない」ということは、結局社長の主観において問題はない、と言っている。
客観的には「大きなプレッシャーを料理長に与え続けていた」のかもしれない。
大事なポイントは、「料理長がプレッシャーを感じていたかどうか」である。
この発言で社長は、自らには非がなく、あくまで料理長の責任だ、とでも言いたいかのようだ。
謝罪会見における社長の発言としてはあまりよろしくない。
会社で起こった不祥事の責任を取るのが社長の役割だ。
何の為に十分な権限を行使し、十分な報酬を得ているのか。
会社における重い責任を負っているからでしょう。
木曽路「申し出があった客には差額分を返金へ」
気になった点1「申し出」について
木曽路は高級店であり、今回の件では7000円のコース料理を食べた客が対象となっている。
どちらかというと収入に余裕がある人が食べていることだろう。
収入に余裕がある人は、わざわざ差額分の1500円を受け取る為に申し出ることは「みっともない」と感じる人が多いかと思う。
だから申し出る人は限られている。
気になった点2「差額分を返金」
客側は「松坂牛」を食べるための対価として金額を支払い、店側は金額と引き換えに「松坂牛」を提供する、という契約を結んだわけだ。
この契約に違反したのは店側であるため、契約を履行できなかった分の金額、つまり全額を返金すべきではないか。
そして、客側は意図しないながらも「松坂牛」ではない料理を食べているので、それに満足出来たのであればその分の代金を店側に支払えば良い。
つまり何が言いたいかというと、
「店側は全額返金した上で、客は「松坂牛」ではない料理の代金の支払いを申し出ることが出来る」
という対応がスマートではないか。
結果は別に差額分の返金と変わらないのだが、プロセスに十分な意味を持たせているのが異なる。
これであれば客側は「みっともなさ」を感じるどころか、自らの「誠実さ」を示すことが出来る。
そして店側は十分な誠意を見せることが出来る。
このような対応をしていれば高級ブランド「木曽路」はそのブランド力を維持出来ていたのではないだろうか。
内部調査ではなく、外部調査による偽装の発覚だった
内部調査により発見出来ていたと思っていたが違っていた。
実態は、大阪市の消費者センターが立ち入り調査をした結果、今回の偽装が判明している。
つまり、「木曽路」の内部調査は機能していなかったことになる。
株式会社 木曽路 は東証1部上場企業である。
内部統制により不祥事を防ぐ仕組み作りを行う義務がある。
内部調査の仕組みはどのようになっているのだろうか。
この仕組みをしっかり作りこまなければ同じような不祥事は再現してしまう。
今回を契機に内部統制にしっかりと費用をかけるべきであろう。
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