倒産の理由を人手不足に求めるのは甘え

引用は読売新聞より

働き手は中小企業から大企業へ

人手不足が原因で倒産する中小企業が増え始めた。

 人件費の高騰が負担となっているほか、働き手を確保できずに経営が行き詰まるケースもある。少子化で働き手が減る中、景気が上向いて大企業が非正規社員などを増やしており、中小企業にしわ寄せが来ている。

 景気が上向いて大企業が非正規社員を増やしている?

 正社員は増やしていないのか・・・

 ここを問題視してもよいかと。

 中小企業の働き手が大企業の非正規社員へ移っている構図になっている。

人件費と資材費の高騰が原因

「職人を探してあちこちに声をかけたが、全く集まらなかった」。今年5月、会社の清算を決めて全事業を停止した長野県の建設会社社長(59)はため息交じりに振り返った。

 人件費や資材費の高騰で昨年末から経営が厳しくなり、今年3月末までに完工予定だった工場建設工事が職人不足で1か月遅れ、資金が底をついた。自己破産手続きの費用さえ手元に残らず、弁護士の助言を受けながら債権者らと協議を続けている。
社長は「消費税の増税前の駆け込み需要は、人手不足を悪化させただけだった」と恨めしげだ。

 長野県の建設会社の倒産の場合は、人手不足が直接の原因となっていない。

 人件費と資材費の高騰が直接の原因で、人手不足はダメ押しに過ぎない。

 社長の「消費税の増税前の駆け込み需要は、人手不足を悪化させただけだった」という発言。

 おそらくこの会社は、駆け込み需要による受注にはありつけず、駆け込み需要による受注にありつけた大企業に人手を持っていかれたのだろう。

 しかし、人が会社を辞めるのは自由であり、常に会社のリスクとして存在している。

 そのリスクが顕在したに過ぎない。

人件費の高騰が原因?

東京都北区の中堅建設会社「岩本組」は5月、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。2012年に受注した同区の中学校の建設工事中に、人件費が急に上昇した。区役所に工事費の増額などを求めたが、認められたのはごく一部。8億円の損失を被り、経営は行き詰まった。中学校は完工が1か月遅れ、今年4月に新学期が始まっても校庭がしばらく使えなかった。

 岩本組の場合は、人件費の高騰が原因となっている。

 人件費の高騰で8億円も損失が出るかな?

 帝国データバンクによると、従業員52名。

 全員年収100万アップしたとしても5200万。

 それが2年続いたとしても1億4000万に過ぎない。

 8億円の損失の原因を人件費高騰だけとするのは違う気がする。

 そして、帝国データバンクによると、負債総額は約32億8800万円となっている。

 倒産の原因はもっと他にもあるのではないかな?

最後に

 ここまで読売新聞の記事を見ながら企業の倒産のケースを2例見てきた。
 
 どちらのケースにも言えるのは人件費が高騰しているということ。

 だから、給料をより多く支払ってくれる企業に働き手が移動している。

 これは建設業界に限らず、どの業界でもある自然な流れだ。

 人件費はその人材が企業にもたらす価値によって決まる。

 価値に見合った給料を出さなければ人は辞めていく。

 企業の経営者は人が辞めるかもしれないというリスクを抱えているのだから、そのリスクをマネジメントする必要がある。

 人が辞めても経営にダメージが出ないように対策を施すのが経営者の務めだ。

 企業が倒産するのは経営者に責任がある。

 その責任を負うからこそ経営者の報酬は高い。

 倒産の理由を人手不足という理由に求め、自らの責任ではないかのような発言は経営者に向いていない。

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