概要
小樽市銭函で女性4人が死傷した飲酒ひき逃げ事件で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの罪で起訴された海津雅英(かいづまさひで)被告(31)について、札幌地検は18日、より罰則の重い同法の危険運転致死傷罪の適用を見送った理由を被害者遺族らに初めて説明した。
遺族らによると、被害者4人の父母と面会した地検幹部は、被告が現場の道路を制限速度内で走行していたことや、直接の事故原因は脇見運転だった可能性が高いことなど判断の理由を説明。遺族らは危険運転致死傷罪の適用を求める署名活動を続けているが、訴因変更については「検討します」と述べるにとどまったという。(どうしんウェブ)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/563560.html
小樽ひき逃げ事件で、2度目の署名を提出した際?の札幌地検の見解が述べられている。
前々からニュースになっていたことで目新しさはない。
ただ、検察が直接被害者遺族らに話したことで、検察の強い意志が感じられる。
直接の原因、間接の原因
直接の原因は「スマホ操作によるわき見運転」なのだろう。
しかし8秒間という長時間のわき見というのは通常の精神状態ではない。
この長時間のわき見運転には飲酒による影響がある可能性が高い。
なので、飲酒運転により間接的に前方不注意を引き起こし、4人を死傷させた疑いがあると言えるかもしれない。
ただし、アルコールが長時間のわき見運転の原因となったことを立証する必要がある。
これはかなり困難な気がする。
最高裁の危険運転の考え方
最高裁判所第三小法廷(寺田逸郎裁判長)は2011年10月31日、「アルコールの影響による前方不注意により危険を的確に把握して対処できない状態も危険運転にあたる」というはじめての判断をしめしている。
この考え方だと、アルコールが直接前方不注意を引き起こした場合は「危険運転」と言えそうだが、海津被告のケースとは少し違う。
前方不注意の原因が「スマホ操作によるわき見運転」と検察は考えているから。
状況を考えると厳罰を求めたくなるが・・・
この事件は痛ましいものであった為、海津雅英被告に対して厳しい罰を求める声は多数ある。
その心情はよくわかる。
しかし、感情のおもむくまま加害者を罰するようでは法治国家とはいえない。
法の趣旨にのっとり、適切な刑罰を与える必要がある。
犯罪の実態と法律の規定、刑罰の程度が乖離しているのであれば、その乖離を埋める努力をする必要がある。
署名活動の意味
現状の危険運転に考え方では、海津被告のケースに適用するのは難しい気がする。
なので、被害者遺族らによる署名活動が意味がなのか、といったらそれは違う。
一般市民の自動車運転に対する考え方を検察に表明することになる。
多くの署名が集まればそれがプレッシャーとなる。
もし仮に今回は危険運転に訴因変更しなかったとしても、今回のことで議論を呼び、将来危険運転適用の要件が変わる可能性がある。
今回、危険運転に切り替えれば良いのだが、切り替えないとしても意味ある行為といえる。
8秒間のわき見運転がいかに異常なのか統計データの検証や実験を通して、飲酒が前方不注意を引き起こした可能性が非常に高い、ということを示せればよいのだが・・・
まあこれは警察・検察がやることで、おそらく立証が困難だったのだろう。
コメント
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せめて同乗者3名もほう助で罪を償ってもらわないと報われない。
9月24日別の死亡事故で同乗者に飲酒運転死亡事故のほう助で判決が出た。
ドリームビーチの件も同じであると思う。