2014年8月7日、北海道札幌市東区東苗穂の勤医協中央病院で起きた殺人未遂事件があった。
加害者は札幌市北区拓北2の3、無職高田秀治容疑者(67)。
被害者は高田容疑者の主治医の男性医師(50歳)。
診察室で包丁により医師を刺した事件だが、その裏側には何があったのか。
その裏側をフィクションでお届けします。
ーーーーーーーーーーフィクションーーーーーーーーーー
酒好きの山田(61歳)は、毎日酒を飲んで一日の疲れやストレスを癒していた。
2008年健康診断で、肝機能が低下しているので、病院に行って検査するように、との結果が出た。
しぶしぶ札幌苗穂病院に向かう山田。
山田「今日は格別寒いな~。ちょっと一杯やってから病院に行きたいな~」
と思ったがまだ時間は14時。
この時間にやっている居酒屋はなかった。
仕方がないのでコンビニでワンカップを購入し、入口付近で飲み干した。
山田「やっぱり酒だよな~。酒飲めない人は人生の9割損している。」
とつぶやいていると、コンビニに入ろうとした近所の主婦がチラリと山田を見たが、直ぐに何事もなかったかのようにコンビニに入っていった。
山田は軽蔑の視線など全く気にならなかった。
酒が入り上機嫌となった山田は札幌苗穂病院に入り受付を済ませた。
1時間待たされイライラしていると、やっと呼ばれて診察室に入っていった。
医師(44歳)「肝機能が低下が激しいですね。ちょっと精密検査を行いましょう。」
山田はいろいろな機器で調査されることとなった。
医師「このまま症状が進めば肝臓が使い物にならなくなるでしょう。毎日お酒を飲んでいるようですが、これからは控えて下さい」
山田「酒なしではやっていけないんだよ。何とか酒を飲みながら治療してくれないか?」
医師「治療で徐々に肝機能を正常な状態に戻すことは可能です。しかし、お酒がそれ以上に肝機能を低下させてしまうのです。ご自身の命がかかっているのですよ。」
山田「じゃあ週に1日は休肝日にするっていうのはどうだい?」
医師「私が言えるのはお酒を飲むと症状が悪化する、ということだけです。しかし、山田さんにも普段の生活リズムがあるのはわかります。まずは山田さんの出来る範囲でお酒を止めていきましょう。」
病院を出てから、
山田は「若造じゃねえか。もっとベテランが良かったな」
と思いながら歩いていた。
病院の帰り道は、何千、何万と数えきれないぐらいの白い小さな物体が上から下へ移動していた。
1年後。
医師「山田さん。頑張ってますね。徐々に肝機能が回復してきていますよ。」
山田「おおそうか。今では酒もほとんど飲んでいないからな。」
4年後。
25歳の時に結婚し41年間生活を共にしてきた山田の妻が交通事故で死亡した。
山田にとって、その空虚感を埋めることが出来るのは酒以外なかった。
そして徐々に酒の量が増えていった。
ミンミンやらジリジリやらなんとも騒々しい夏の日だった。
1か月後。
医師「山田さん。肝機能が悪化していますよ。まさかお酒を飲んでませんか?」
山田「うるせえな。お前はしっかり俺の体を治すのが仕事だろう。しっかりやれよ」
医師「私が出来るのは山田さんの治療の手助けです。山田さん自身が治療に前向きじゃないと私にも限界があります。また最初の頃のように徐々にお酒を減らせませんか」
山田「俺は俺のやり方でやる。お前はお前のやり方で俺の肝臓を治してくれればいい。」
10か月後
医師「山田さん、山田さんの肝臓は非常にまずい状態まできています。厳しいことを言うようですが、お酒を止めないと死んでしまいますよ。」
山田「おいおい、お前は俺の肝臓を治すのが仕事だろう。なんで治せないんだよ。」
医師「何度も申し上げていますが、お酒を飲み続ける限り、治療は無駄になります。お酒を飲むのを止めてください。」
山田「初めてここにきてから6年だよな。お前は6年何してたんだよ。無能かよ。」
医師「山田さん。お酒を止めましょう。」
山田「お前は無能かって聞いてんだよ。」
医師「・・・」
山田「もういい。帰る。」
山田は怒りが治まらなかった。
山田「この6年酒もほとんど飲まずに頑張ってきたのに無能な医者のせいで肝臓が治ってない」
と思い込んだ。
酒を飲んだことで症状が悪化したことは全く頭によぎらなかった。
自宅に付き、少し冷静になると怒りから恐怖に変わった。
山田「俺はこのまま死ぬのか?やめてくれよ、死にたくない」
思いは独り言となって空気を波打った。
そしてまた怒りへと変わった。
山田「俺が死にそうなのはあのやぶ医者のせいだ。チクショウ。許せない。来月、台所にある包丁で刺してやる。」
そして1か月後、事件は起こった。
ーーーーーーーーーーフィクションーーーーーーーーーー
※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは 一切関係ありません。
8月11日追加情報の記事「勤医協中央病院殺人未遂事件 追加情報」
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